英語の野球用語を学ぼう!

 redditなどで頻繁に見られる野球用語を紹介しています。辞書には載っていないようなスラング多めです。少しずつ追加していきます。

  1. 数字
    1. 5 hole (ファイブホール)
  2. A
    1. AAAA player (フォー・エー・プレイヤー)
    2. Africa (アフリカ)
  3. B
    1. backdoor breaking ball (バックドア・ブレイキング・ボール)
    2. backstop (バックストップ)
    3. back-to-back (バック・トゥ・バック)
    4. bag (バッグ)
    5. balk-off (ボークオフ)
    6. banger(バンガー)
    7. Beat LA(ビート・エルエー)
    8. bless the rain (ブレス・ザ・レイン)
    9. big fly (ビッグフライ)
    10. blue (ブルー)
    11. bomb (ボム)
    12. buttercup(バターカップ)
  4. C
    1. catcher’s interference (キャッチャーズ・インターフェアレンス)
    2. clutch (クラッチ)
    3. command (コマンド)
    4. cycle watch (サイクル・ウォッチ)
  5. D
    1. die (ダイ)
    2. Dodger Devil Magic (ドジャーズ・デビルマジック)
    3. Drive home safely (ドライブ・ホーム・セーフリー)
  6. E
    1. empty calories (エンプティ・カロリーズ)
    2. excuse me swing (エクスキューズ・ミー・スウィング)
  7. F
    1. FanGraphs (ファングラフス)
    2. filthy (フィルシー)
    3. fish man (フィッシュマン)
  8. G
    1. gas (ガス)
    2. gem (ジェム)
    3. GOAT (ゴート)
    4. Got that dawg in him (ガット・ザット・ドッグ・イン・ヒム)
    5. Grand salami (グランド・サラミ)
    6. Grand salami time! (グランド・サラミ・タイム!)
  9. H
    1. halos (ヘイローズ)
    2. hammer (ハンマー)
  10. I
    1. ice cream cone (アイスクリーム・コーン)
  11. J
    1. jack (ジャック)
    2. Juiced ball theory (ジュースド・ボール・セオリー)
    3. Junetani (ジューンタニ)
  12. K
    1. kechi tani (ケチ・タニ)
    2. Kershaw Day(カーショウ・デー)
    3. keystone (キーストーン)
  13. L
    1. line drive (ライン・ドライブ)
    2. line out (ライン・アウト)
    3. lolMets (ロルメッツ)
    4. long reliever (ロングリリーバー)
    5. LTBU (エル・ティー・ビー・ユー)
  14. M
    1. macho man (マッチョマン)
    2. “Macho Man” Randy Savage (マッチョマン・ランディ・サベージ)
    3. mash (マッシュ)
    4. meatball (ミートボール)
    5. moonshot (ムーンショット)
    6. MV3 (エム・ヴィー・スリー)
  15. N
    1. nailed (ネイルド)
    2. noble tiger (ノーブル・タイガー)
    3. nuke (ヌーク)
  16. O
    1. official scorer (オフィシャル・スコアラー)
    2. opener (オープナー)
    3. oppo taco (オポ・タコ)
  17. P
    1. Pitch clock (ピッチ・クロック)
    2. punch the air (パンチ・ザ・エアー)
  18. Q
    1. quality start (クオリティ・スタート)
    2. quick pitch (クイック・ピッチ)
  19. R
    1. Rally Monkey (ラリー・モンキー)
    2. Rally Squirrel (ラリー・スクワラル)
  20. S
    1. Shotani (ショータニ)
    2. snow cone (スノーコーン)
    3. stantonian (スタントニアン)
    4. stat padding (スタット・パディング)
    5. sweep (スイープ)
    6. sword (ソード)
  21. T
    1. tater (テイター)
    2. Three-run jimmy jack (スリーラン・ジミー・ジャック)
    3. Tony two-months (トニー・トゥー・マンス)
    4. ‘Tungsten Arm’ O’Doyle (タングステンアーム・オドイル)
    5. Troutani (トラウタニ)
  22. U
    1. ultimate grand slam (アルティメット・グランド・スラム)
    2. Unicorn (ユニコーン)
  23. V
    1. Victor Rojas (ビクター・ロハス)
    2. visitors (ビジターズ)
  24. W
    1. walk-off (ウォークオフ)
  25. X
    1. X-Factor(エックス・ファクター)
  26. Y
    1. Yoshi (ヨシ、ヨッシー)
  27. Z
    1. zombie / zombie runner(ゾンビ/ゾンビランナー)

数字

5 hole (ファイブホール)

 選手の股の間、いわゆるトンネル部分のこと。もともとはアイスホッケーの用語で、ゴールキーパーの防御すべき5つの“穴”のうち、第5の穴=両足の間を意味する。野球では捕手の股下を抜けたパスボールなどに対して使われる。

 ホッケーにおける5つの「ホール」

  1. 右上
  2. 右下
  3. 左上
  4. 左下
  5. 股の間(=5 hole)

A

AAAA player (フォー・エー・プレイヤー)

 またはQuadruple-A player (クアドルプル・エー・プレイヤー) とも言う。マイナーリーグの上位で活躍しているが、MLBでは結果を残せない選手のこと。

 また「AAAA」はマイナーリーグよりレベルが高く、MLBよりレベルが低いという意味で、日本のNPBのレベルを説明する際に使われることもある。韓国のKBOと、稀に台湾のCPBLが含まれることもある。

Africa (アフリカ)

 2018年にラファエル・デバースのグランドスラムの映像に対して、ファンがTOTOの名曲「アフリカ」をBGMとして当てたビデオクリップを投稿した。ノスタルジックな曲の雰囲気とグランドスラムの感動的な映像の一体化がレッドソックスのサブレディット内で反響を呼びミーム化した。​以降、レッドソックスがグランドスラムを達成するたびに「Africa」をBGMとして使用する文化が定着し、Redditの r/redsox サブレディットでは「Africaに行く(go to Africa)」という表現が、グランドスラムの代名詞として使われるようになった。​ちなみにその映像を最初に作ったのはカブスファンだった。
参考動画 → https://streamable.com/nun22

B

backdoor breaking ball (バックドア・ブレイキング・ボール)

 横方向の変化でボール球からストライクゾーンに入ってくる変化球 (通常はスライダー、カーブボール、またはカット) のこと。由来は、横方向の変化により、プレートを完全に外したように見える変化球が、プレートの前面ではなく、背面(=バックドア、裏口) を通ってストライクゾーンに滑り込んでくるというところから来ている。 特にスライダーは他の変化球よりも横方向の変化が大きいため、最も頻繁にこの言葉が使われる。

backstop (バックストップ)

・ホームベース後ろのフェンスやネットのこと。

・キャッチャーの俗称。backstopperとも言われる。

back-to-back (バック・トゥ・バック)

 本来の意味は「背中合わせの」だが、スポーツ、特に野球では「連続で起こること」を指す。
 主に2者連続ホームランを指して用いられる。3者連続ホームランの場合は「back to back to back」、4者連続ホームランの場合は「back to back to back to back」、5者…(略)

bag (バッグ)

 ベースのこと。1塁・2塁・3塁・本塁はすべて四角いベース(=袋状のクッション)でできており、これが「bag(袋)」と呼ばれる由来。派生表現で、two-bagger(二塁打)、three-bagger(三塁打)、four-bagger(本塁打)などがある。

 He stole a bag.
 → 彼は盗塁した(ベースを盗んだ)

balk-off (ボークオフ)

 試合の最終回、同点またはビハインドの状況で、投手のボークによってサヨナラ勝ちが決まるプレイのこと。walk-off balkとも。

banger(バンガー)

 チーム打線の中心となる強打者。主にホームランや長打を量産するパワーヒッターに対して使われる。もともと「bang(強く打つ)」という動詞に由来しており、「ボールを強打する選手」というニュアンスがある。

Beat LA(ビート・エルエー)

 「Beat LA」とは、「ロサンゼルスを倒せ!」という意味のチャント(応援歌・掛け声)で、ロサンゼルスを本拠地とするチームに対して、ライバルチームのファンが使用するフレーズ。元々はNBAのボストン・セルティックスのファンが始めたと言われており、ロサンゼルス・レイカーズとの因縁の対決において叫ばれたのが起源とされている。MLBにおいては、ドジャースに対して特にサンフランシスコ・ジャイアンツやサンディエゴ・パドレスなどのライバルチームのファンが使用することが多い。ちなみにエンゼルスは球団名をアナハイムからロサンゼルスに変えたが、弱小チームと見なされている上、ファンやメディアからも本当のロサンゼルスのチームとも認められていないため、このチャントを叫ばれることはほとんどない。

bless the rain (ブレス・ザ・レイン)

 ボストン・レッドソックスのファンコミュニティで使われる表現で、チームの劇的な勝利や印象的なプレーを称える際に用いられる。​TOTOの楽曲「Africa」の歌詞「I bless the rains down in Africa」(僕はアフリカに降る雨を祝福する)に由来し、ファンが喜びや感謝の気持ちをユーモラスに表現するために使用する。

big fly (ビッグフライ)

 ホームランのこと。資料の中に現れるのは1987年が初出。後に、エンゼルスの元・実況アナウンサー、ビクター・ロハスが大谷翔平のホームランを見て「Big FlyOhtani-San! 」と言ったことから今日このフレーズが広まった。

blue (ブルー)

 審判員。かつて審判員のユニフォームが青色だったことにちなんで名付けられた。なお、「ブルー」はドジャースのチームカラーでもあるため、ドジャースファンが使うとややこしく聞こえることもある。

bomb (ボム)

 ホームランのこと。

buttercup(バターカップ)

 ロサンゼルス・エンゼルスのファンの間で使われるスラングで、チームに対する期待が裏切られ、失望に変わるプロセスや感情を指す。由来は”Build Me Up Buttercup”という曲からで、この曲はガールフレンドに何度も何度も失望した男を歌ったもので、これが2010年、7thイニングストレッチにかかったことからチームの悲惨な状況と重ねてファンの間で皮肉・自虐的に使われるようになった。

C

catcher’s interference (キャッチャーズ・インターフェアレンス)

 打者がスイングをした際、キャッチャーのグラブや身体がバットに触れてしまい、打撃動作を妨害したと審判が判断した場合に適用される反則行為。
 略して CI と表記されることもある。

clutch (クラッチ)

 本来は「しっかりつかむ」「握る」という意味の英単語だが、スポーツ、特に野球では、試合の重要な局面(勝負どころ)で結果を出すこと、またはそのような能力を指す。

 試合終盤や接戦、得点圏など、プレッシャーがかかる場面で冷静に打つ・投げる・守ることができる選手は、「clutch player(クラッチ・プレイヤー)」と呼ばれ、アメリカでは特に高く評価される。

command (コマンド)

  投手が意図したコース・高さ・ゾーンに正確に投げ分ける能力を指す。特に、ストライクゾーン内外の特定の「スポット」(=狙いどころ)に対して、精密に投球できる高度な制球力を意味する。

 よく混同されがちな「control(コントロール)」が「ストライクゾーンに入れる能力」全般を指すのに対し、「command」はその中でも狙った箇所に投げ込む精密さ・意図の通りにボールを操る能力に焦点が当たっている。

cycle watch (サイクル・ウォッチ)

 選手がサイクルヒット(単打・二塁打・三塁打・本塁打を同一試合で全て打つこと)を達成する可能性がある状態に注目していること、またはその状況自体を指す言葉。

 ほとんどの場合、すでに3種類の安打を打っており、残り1本を見守る状況で使われるが、初回などにサイクル達成の条件として最大の障壁になる三塁打が出た場合なども気の早い人達によってこの言葉が使われる。

D

die (ダイ)

 打球が飛び出したときには長打やホームランになると思われたが、風や湿気などの影響で予想よりも早く失速し、外野の手前で落ちるような軌道になった場合に使われる表現。
 「ボールが空中で“死んだ”」=失速した、という意味で使われる。

Dodger Devil Magic (ドジャーズ・デビルマジック)

 ドジャースが無名選手を急に活躍させる現象を指すファン用語。もともとはカージナルスに対して使われた「Cardinal Devil Magic」に由来し、選手育成力やデータ活用の巧みさを“魔法”と呼ぶ比喩的表現。

Drive home safely (ドライブ・ホーム・セーフリー)

 エンゼルスがサヨナラ勝ちした際に使われるフレーズ。意味は、サヨナラ勝ちして浮かれて事故を起こすことがないように、「安全運転で帰りましょう」ということ。2010年から2020年までエンゼルスの実況を務めたビクター・ロハスが生み出したフレーズの一つ。

E

empty calories (エンプティ・カロリーズ)

 スタッツ上は派手に見える成績でも、実際にはチームの勝利にほとんど貢献していないプレーや選手のことを指す皮肉な表現。「カロリーはあるけど栄養がない」という食べ物の比喩をスポーツに転用した用語。

excuse me swing (エクスキューズ・ミー・スウィング)

 打者がスイングを途中で止めようとした際に、意図せずボールにバットが当たってしまうスイング。

F

FanGraphs (ファングラフス)

 FanGraphs社が運営する野球のウェブサイト。専門家や野球シンクタンクと提携してメジャーリーグの統計データや分析記事を提供している。fwarで有名。

filthy (フィルシー)

 本来は「汚い」「不潔な」「ひどく不快な」といったネガティブな意味を持つ形容詞だが、野球スラングでは真逆の意味で使われ、特に変化球のキレが異常なほど鋭い場合に用いられる称賛表現。

 同義語として“nasty”(=えぐい、エグすぎる)もよく使われる。

fish man (フィッシュマン)

 マイク・トラウトのあだ名。トラウト (trout) はサケ科の淡水魚または遡河魚の総称であることから。

G

gas (ガス)

 速度の速い速球のこと。言い換えで「ガス、煙」を意味する “vapor” (ヴェイパー) が使われることもあるが、これは語源的にやや”こじつけ”または”後付け”に近い面があると考えられる。

 アメリカ英語では、gas(ガス)という言葉は基本的に「ガソリン」の意味で使われ、車を加速させるための燃料として広く認知されている。そこから転じて、「hit the gas(アクセルを踏む → 一気にスピードを上げる/勢いをつける)」や「step on the gas(アクセルをぐっと踏む)→ 一気にスピードを上げる/勢いをつける」「give it some gas(ガスを注ぐ)→ よりパワーを加える、加速する」といった表現が生まれ、「スピード、勢い、爆発力」を象徴するメタファーとして定着した。これらの表現が比喩的に野球へと応用され、「ガス=速球」へと意味が展開されたと考えられる。

gem (ジェム)

 一般的にこの言葉は「宝石、逸品、美しくて貴重なもの、珠玉」の意味として使われるが、野球ではピッチャーがほとんどヒットを許さず非常に良い内容で投球した際に、その投球を称賛される意味で使われる。ほとんどの場合勝利投手で、点は取られても1、2点の場合に使われる。

GOAT (ゴート)

 Greatest of All Timeの略。「史上最高」の選手のこと。ヤギ(goat)とスペルが同じ。

Got that dawg in him (ガット・ザット・ドッグ・イン・ヒム)

 アスリートなどに対して用いられるスラングで、「精神的に非常にタフで、勝負強く、ハードなプレーやクラッチな場面で真価を発揮する選手」を称える言い回し。
 ここでの「dawg」は「dog」のスラング形で、単に犬という意味ではなく、闘争心、根性、野性味、リーダーシップの象徴として使われる。

Grand salami (グランド・サラミ)

 「グランドスラム(満塁ホームラン)」の俗称。「grand slam(グランドスラム)」と「salami(サラミ)」が語感的に似ていることから、ユーモラスな言い換えとして野球中継やファンの間で使われるようになった。特にアメリカの野球実況では定番の表現となっている。

Grand salami time! (グランド・サラミ・タイム!)

 エンゼルスがグランドスラムを達成した際に使われるフレーズ。元・エンゼルス実況ビクター・ロハスのお決まりのフレーズの一つ。

H

halos (ヘイローズ)

 ロサンゼルス・エンゼルス(Los Angeles Angels)のニックネーム。halo(ヘイロー)とは天使の頭についている輪っかのこと。

hammer (ハンマー)

・長打のためにボールを強く叩くこと。

・垂直に落ちるカーブのこと。「12-to-6 hammer」という表現もよく使われる。12と6は時計の針の位置を指し、つまり真上から真下に落ちるということ。

I

ice cream cone (アイスクリーム・コーン)

 グラブの先でかろうじてボールをキャッチすること。グラブとボールがコーンの上に乗った丸いアイスのように見えることから。”snow cone”とも。

J

jack (ジャック)

 「ホームラン」もしくは「ホームランを打つ」こと。 “Hitting a jack”、または”Jacking one out of here”でどちらも「ホームランを打つ」という意味になる。

Juiced ball theory (ジュースド・ボール・セオリー)

 MLBで使用されているボールが、得点を上げるためにリーグによって意図的に変更されたとする説。90年代に盛んに議論されたが、ステロイド問題が顕著になってからはこの話題は下火になった。
 しかしリーグ全体のホームランの数がステロイド全盛期を超えた2017年以降、再びこの説が脚光を浴びることになった。
 2019年にジャスティン・バーランダーはこの問題に対して、MLBの試合で使用されるボールは「冗談」であり、リーグが攻撃力を高めるためにジュースド・ボールを導入したことを「100%」信じていると述べた。
 2021年には、リーグが飛ぶボールと飛ばないボールの2種類を使用していたことが判明し、リーグが人気球団の試合に飛ぶボールを優先的に供給していたのではないかという憶測も飛び交った。

Junetani (ジューンタニ)

 大谷翔平が毎年6月(June)に入ってから異常なほどの活躍を見せることから生まれた、「June(6月)」+「Ohtani(大谷)」の合成語。

K

kechi tani (ケチ・タニ)

 2023年6月、大谷にバッティングを教えてもらえなかった鈴木誠也が「ケチ谷」と呼んでいますと報道陣の前で冗談で言った大谷翔平の蔑称。それに対して大谷は「初めて聞きました。僕も教えられるようなバッティングをしてないので、お互い頑張りたい」と大人な対応で返し、鈴木誠也を辱めた。

Kershaw Day(カーショウ・デー)

 ドジャースのエース投手クレイトン・カーショウが先発登板する日を、ファンが「今日はカーショウの試合だ!」と期待を込めて呼ぶ表現。彼の圧倒的な実績と信頼感から、まるで特別な日として扱われるようになった。

keystone (キーストーン)

 一般的に「〔物事の〕要、最も重要な部分」という意味があり、野球においては二塁のことを指す俗称で、特に二塁手と遊撃手の連携(ダブルプレー)を「keystone combination」と呼ぶ。

L

line drive (ライン・ドライブ)

 野球において、打球が弧を描かず、直線的な軌道で速く飛んでいく打球のこと。日本語では「ライナー」と呼ばれる。バウンドする前に野手に捕球されると「line out(ラインアウト)」となる。

line out (ライン・アウト)

 ライナーをキャッチされアウトになること。日本ではランナーがタッチアウトを避けるために走路を外れて、ルール違反によるアウトになることを指すため、取り違えに注意。

lolMets (ロルメッツ)

 ニューヨーク・メッツの劇的な失敗や不名誉な出来事を嘲笑する際に使用されるインターネットスラング。​「lol」は「laughing out loud(大笑い)」の略であり、2007年のメッツの歴史的な崩壊(9月12日時点で7ゲーム差の首位からプレーオフ進出を逃す)に由来する。​以後、メッツの失態や不運な出来事を象徴する言葉として定着し、SNSやフォーラムで頻繁に使用されている。

long reliever (ロングリリーバー)

 リリーフピッチャーの一種で、先発投手が早い回で降板した際(主に1~4回)に登板し、複数イニングを投げて試合を立て直す役割を担う投手。このような起用は、先発の乱調やケガ、雨天中断などで予定より早く継投が必要になった場合に多く見られる。

LTBU (エル・ティー・ビー・ユー)

 「Light That Baby Up!」の略で、ロサンゼルス・エンゼルスが勝利した際に使用されるフレーズ。​2010年から2020年までエンゼルスの実況を担当したビクター・ロハス氏が、チームの勝利時にこのフレーズを用いたことから広まり、SNS上では「#LTBU」としてファンの間で定着した。​この表現は、エンゼルスの本拠地であるエンゼル・スタジアムの駐車場に設置された「Big A Sign」の頂上にあるハロー(光輪)が勝利時に点灯する伝統にちなんでいる。​近年では、敗戦時にもハローが点灯するようになったが、従来の「勝利時のみ点灯する」という伝統を重んじる声もある。

M

macho man (マッチョマン)

 吉田正尚選手のあだ名。

“Macho Man” Randy Savage (マッチョマン・ランディ・サベージ)

 かつて人気を博した元・マイナーリーガーの人気プロレスラー。吉田正尚選手と同じくあだ名がマッチョマンであることから度々引用される。

mash (マッシュ)

 打者がボールをうまく打ったときに強打の意味で使用される。mashは一般的な動詞の意味としては「(ジャガイモなどを)すり潰す」という意味。関連用語にtater (テイター) がある。

meatball (ミートボール)

 打ちやすい球のこと。それが打ちやすければ球速、球種は関係ない。コースは真ん中に投じられる球がそう呼ばれることが多い。

moonshot (ムーンショット)

 非常に高く上がったホームランのこと。ブルックリンドジャースがLAに移転した際、当時の本拠地となったLAコロシアムは、現在のフェンウェイパークのように左翼フェンスまでの距離が短く、壁が高い作りになっていた。当時のドジャースに所属していたWally Moon (ウォーリー・ムーン) はこれを利用し、高い打球を上げてホームランを量産したことから、当時のドジャーズの実況Jerry Doggett (ジェリー・ドゲット) によってムーンショットと名付けられて広まった。​この表現は、ムーン選手の名前と、当時の宇宙開発競争(スペースレース)を掛け合わせた言葉遊びとして広まり、現在では非常に高く打ち上げられたホームラン全般を指す表現として定着している。ちなみにフェンウェイパークのグリーンモンスターは11.2mでLAコロシアムの左翼の壁は12.8mだった。

MV3 (エム・ヴィー・スリー)

 ロサンゼルス・ドジャースに所属するMVP級の3選手、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン、大谷翔平を指す通称。
 3人ともMVP受賞歴があり、2024年のドジャース打線を支える「最強のトリオ」として、ファンの間では「Most Valuable 3(最も価値ある3人)」の略称=MV3(エム・ヴィー・スリー)」として親しまれている。

N

nailed (ネイルド)

1.ランナーを刺す、アウトにすること。
2.ファストボールの死球や強い送球が当たった際に使われる。≒ drilled / plunked

noble tiger (ノーブル・タイガー)

 野球におけるスラングで、無死満塁の好機を得ながら得点できずにイニングを終える状況を指す。​この表現は、“No-Outs Bases-Loaded Ending with Team Incapable of Getting Easy Run”(無死満塁で始まり、簡単な得点すらできずに終わるチーム)というフレーズの頭文字を取ったアクロニムで、「NOBLETIGER」と表記される。​主にRedditの野球関連フォーラムで使用され、特にデトロイト・タイガースのファンの間で広まった。​この表現は、無死満塁という絶好の得点機会を逸することの皮肉や自虐を込めて使われる。

nuke (ヌーク)

 とてつもなく飛距離のあるホームランを指すスラング。語源は「核兵器(nuclear weapon)」の略である nuke から来ており、ボールを“爆発的にぶっ飛ばした”という強調表現として使われる。

O

official scorer (オフィシャル・スコアラー)

 フィールド上のイベントを記録し、公式記録としてリーグ事務局に送信する人。打球がヒットなのかエラーなのか、パスボールなのか暴投なのかを判定する際に存在感を発揮する。選手の成績にとって重要な役割を持つ係の人。この記録は後になって変更される場合もある。

opener (オープナー)

 通常の先発投手ではなく、試合の最初の1〜2回だけを投げる短期起用のリリーフ投手のこと。相手打線の上位を抑えるためや、戦略的な投手リレーを前提とした起用法で、2018年のタンパベイ・レイズが確立したブルペン運用として注目された。

oppo taco (オポ・タコ)

 野球におけるスラングで、打者が逆方向(opposite field)に放ったホームランを指す表現。​「oppo」は「opposite(反対)」の略で、「taco」は語呂の良さから加えられた言葉。​2003年にマイナーリーガーのマット・ベリスル選手が使用した記録があり、その後、ロサンゼルス・エンゼルスの実況アナウンサー、ビクター・ロハス氏が2009年頃から頻繁に使用し、広く知られるようになった。

P

Pitch clock (ピッチ・クロック)

 pitch timer(ピッチ・タイマー)とも。試合時間の短縮を目的として設けられ、投球間に制限時間を設ける制度。投手は、ボールを受け取ってから、走者がいない場合は15秒、走者がいる場合は20秒以内に投球動作に入らなければならない。これに違反(Pitch Clock Violation)した場合、自動的に1ボールが追加される。打者は、制限時間の8秒前までに打席に入り、打つ準備を完了していなければならない。これに違反した場合、自動的に1ストライクが追加される。ちなみにPitch Clock Violationを投手と打者の両方で取られたのは大谷翔平選手が初めて。

punch the air (パンチ・ザ・エアー)

 一般的な辞書には「拳を突き上げる、ガッツポーズをとる」など喜びを表現する動作として定義されているが、実際にredditやX等では、誰かが何かに腹を立てたり、悔しがったり、嫉妬していたりするときの動作としてこの言葉が使われているケースが頻繁に見られる。また、皮肉の場合もあるため文脈から判断する必要がある。

Q

quality start (クオリティ・スタート)

 先発投手が少なくとも6イニングを投げ、3点以下の自責点だった場合に公式記録としてカウントされる。勝敗は関係ない。

quick pitch (クイック・ピッチ)

 打者の準備が整う前に、投手が投球を行う反則行為。出塁者がいない場合、通常「ボール」扱い、または投球無効(ペナルティなしのやり直し)とされる。出塁者がいる場合、ボークと判定される。

R

Rally Monkey (ラリー・モンキー)

 ロサンゼルス・エンゼルスの非公式マスコットで、2000年に登場。試合終盤にチームが同点または4点差以内で負けている状況で、球場のビジョンに登場し、観客を鼓舞する存在。特に2002年のワールドシリーズでの逆転劇により、チームの象徴的存在となった。

Rally Squirrel (ラリー・スクワラル)

 2011年のセントルイス・カージナルスとフィラデルフィア・フィリーズのワールドシリーズの試合中に現れたことから同2球団の非公式マスコットとなった。2023年5月6日のカージナルスvsタイガースのヌートバーの打席中に現れ、試合が中断し、ヌートバーはうんざりした様子を見せた。

S

Shotani (ショータニ)

 Angels Weeklyという番組の中で、マイク・トラウトが大谷翔平のことを間違えてこう呼んだ。
大谷は笑って「ショータニって何?」と返し、それに対してトラウトは「Oh, Ohtani. Sorry」と返した。

動画3:24~
https://www.youtube.com/watch?v=ZKxa01zPmDk

snow cone (スノーコーン)

 野球において、グラブの先端でかろうじてボールをキャッチするプレイのこと。キャッチしたボールがグラブから少しはみ出して見える様子が、紙製の円すいコーンの上に盛られたかき氷(=スノーコーン)に似ていることから名付けられた。
 ”ice cream cone(アイスクリーム・コーン)” とも呼ばれることがあるが “snow cone (スノーコーン)” の方がより一般的。

stantonian (スタントニアン)

 ニューヨーク・ヤンキースの実況アナウンサー、ジョン・スターリングが、ジャンカルロ・スタントンの特大ホームランを称える際に使用した造語。​しかし、2021年のアメリカンリーグ・ワイルドカードゲームで、スターリングがスタントンの打球をホームランと誤認し、「スタントニアン・ホームラン!」と実況したものの、実際には打球はフェンウェイ・パークのグリーンモンスターに当たり、スタントンは一塁止まりだったという出来事があった。​この誤報により、「Stantonian」は、実際よりもはるかに大きいと主張されたが、最終的には本来あるべきものよりもはるかに小さくなっているという意味で、皮肉やジョークとして使われるようになった。

例:
「ピッチャー、スタントンへ投げました、行ったー!左翼に深いぞ!高い!遠い!消えたー!場外!スタントンのホームランです!」

(気まずい沈黙の後)

「えっと、失礼しました、見間違えましたかね?スタントンは一塁ベースにいます」

stat padding (スタット・パディング)

 個人の統計(スタッツ)を意図的に良く見せるために行うプレイ。チームの勝利にはさほど影響を与えないか、時には逆効果になることもある。この用語は特にNBAなどで広く使われ、プレイヤーがリバウンドやアシストなどの記録を稼ぐために意図的なプレイをする様子を指す。

 また、eスポーツ(例:FPS、MOBA)でも、キル・デス比(K/D)を良く見せるための安全なプレイや、勝敗が決した後の“無意味なキル稼ぎ”などが「stat padding」とみなされる。

sweep (スイープ)

 1つのシリーズ(同じ2チームによる連続した複数試合)において、片方のチームが全勝すること。レギュラーシーズン中は、通常3連戦または4連戦でシリーズが構成され、ホームとロードで交互に行われる。

 この用語はポストシーズンでも使われ、たとえば「4試合制のプレーオフシリーズで4勝0敗となる」ことも「スイープ」と呼ばれる。

sword (ソード)

 打者が投球に完全に欺かれ、明らかに競争力のないスイング(非競争的スイング)をした際に使用される表現。​この用語は、ピッチングアナリストのロブ・フリードマン(@PitchingNinja)が広めたもので、特にチェックスイングや中途半端なスイングでバットが前方に出てしまった場合に「sword」と呼ばれる。​この表現は、映画『ベンチウォーマーズ』に由来している。​

 MLB公式のStatcastでは、以下の条件を満たすスイングを「sword」と定義している:​

  • 空振りであること(ファウルではない)
  • バットがホームプレートの前面を越えること
  • スイングが「不完全なスイング」であること(バットのヘッドがプレート前方5インチのラインを越え、元に戻らない)
  • バットスピードが下位10パーセンタイル以下であること
  • スイングの最終フレームでの速度が20mph以下であること​

 このようなスイングは、ソーシャルメディア上で話題になりやすく、ピッチャーが打者を完全に欺いたことを示す象徴的な瞬間として捉えられている。

T

tater (テイター)

 ホームランを意味するスラング。元々は「ジャガイモ」を表す方言で、野球では強打を意味する「mash(潰す)」から派生したという説がある。

Three-run jimmy jack (スリーラン・ジミー・ジャック)

 3ランホームランのこと。2010年から2020年までの間、エンゼルスで実況を務めたビクター・ロハスがよく使用し、親しまれたフレーズ。元々”jack”にホームランの意味があり、”jimmy”は語呂の良さでつけられている。ちなみにMLBの歴史にジミー・ジャックという選手はいない。

Tony two-months (トニー・トゥー・マンス)

 アンソニー・レンドンのこと。レンドンは、ナショナルズ時代にリーグ最多2塁打を2年連続で打ったことからトニー・トゥー・バッグスというあだ名があったが、2023年、怪我をした際に全治2ヶ月という意味でトゥー・マンスという不名誉なあだ名がついた。

‘Tungsten Arm’ O’Doyle (タングステンアーム・オドイル)

 大谷選手にまつわるミーム。きっかけはトロント・ブルージェイズファンであるMatt Englishさんの以下のツイートである。

「every time I see an Angels highlight it’s like “Mike Trout hit three homes runs and raise his average to .528 while Shohei Ohtani did something that hasn’t been done since ‘Tungsten Arm’ O’Doyle of the 1921 Akron Groomsmen, as the Tigers defeated the Angels 8-3”」

訳:
俺がエンゼルスのハイライトを見る度に、「マイク・トラウトが3本塁打を放ち、打率を.528に上げ、大谷翔平は1921年、アクロン・グルームズメンのタングステンアーム・オドイル以来のことを成し遂げた、なお、タイガースはエンゼルスを8-3で下した」とかそんな感じだ。

 このツイート以前にも同じようなことは野球ファンたちの間で散々言われてきたが、このツイートの内容が毎度恒例のエンゼルスの試合展開を端的に表しており、野球ファンたちの間で非常に大きな共感を得たことで広まった。

 名前の「Tungsten(タングステン)」は非常に硬い金属を指し、「Arm(アーム)」は投手の腕力を示唆している。つまり、「タングステンの腕を持つオドイル」という、ありえないほど強力な投手を想像させる名前になっている。また「1921年のアクロン・グルームズメン」も架空のチーム名。

Troutani (トラウタニ)

 マイク・トラウトと大谷翔平のこと。打順が隣り合った状態で、連続ヒットを放った際にこの言葉が使われることが多い。

U

ultimate grand slam (アルティメット・グランド・スラム)

 9回裏(または延長回の裏)に3点ビハインドの状況で、逆転サヨナラとなる満塁ホームランを放つこと。ちなみにアウトカウントは条件に含まれていない。

Unicorn (ユニコーン)

 大谷翔平のあだ名。ファンタジーや希少性の象徴として知られるユニコーンにちなみ、投打の両方で超一流の成績を収める「二刀流」の希少性からこのあだ名がついた。またユニコーンは一本の角を持つ白馬またはヤギ (goat) のような伝説の生き物として描かれたため、GOAT (史上最高) ともかかっている。

V

Victor Rojas (ビクター・ロハス)

 2010年から2020年にかけて、エンゼルスで実況を務めた元・放送局員。”Oppo taco”、”Three-run jimmy jack”、”Light that baby up!”、”Drive home safely!”、”Grand salami time!”、”Big fly, Ohtani-san!”など、数々の有名フレーズを広めたレジェンド。

visitors (ビジターズ)

 相手チームのホームスタジアムで試合をする「アウェイ側」のチームのこと。また、そのチームに属する選手やファンも含まれる。

W

walk-off (ウォークオフ)

 サヨナラホームランのこと。

X

X-Factor(エックス・ファクター)

 フリーエージェント選手が契約を結ぶ前に、所属予定チームのメディカルチェック(身体検査)をパスする必要があるという「ルール」のこと。

 この用語は、救援投手のザビエル・ヘルナンデス(Xavier Hernandez)に由来する。彼はかつて未公表のケガを抱えたままボルチモア・オリオールズと契約し、結局投げることなく報酬を支払われたという出来事があった(2000年2月16日付『ボルチモア・サン』より)。

 このことから、契約前に選手の健康状態を確認することの重要性が強調されるようになり、それを皮肉っぽく「X-Factor」と呼ぶようになったという背景がある。

Y

Yoshi (ヨシ、ヨッシー)

 筒香嘉智と吉田正尚につけられたあだ名。世界的に人気な任天堂のゲーム、マリオシリーズに登場するキャラクターヨッシーと同じ綴りであるため親しみやすいあだ名になっている。英語には促音の概念がないためヨシもヨッシーも同じ綴り。

 2024年、ドジャースと契約し渡米した山本由伸もこのあだ名で呼ばれることとなった。

Z

zombie / zombie runner(ゾンビ/ゾンビランナー)

 延長戦の各回の表に、自動的に二塁に置かれるランナーのこと。セイバーメトリクス系ポッドキャスト『Effectively Wild』のホスト、ベン・リンバーグによる呼び方で、「前の回でアウトになった選手が“よみがえって”走者として戻ってくる」ことから、ゾンビになぞらえてこの名前がつけられた。他に俗称として「ghost runner」とも呼ばれる。

 正式には「automatic runner(自動ランナー)」と呼ばれる。